派遣法を学んで自分を守ろう
【派遣法】は派遣労働者の就業条件の整備や労働現場での権利を確保するために定められた法律です。
残念ながら、派遣法について知識がない派遣先企業が多いです。ひどい場合は、派遣会社でも派遣法を理解していない社員がいます。
このため、派遣法に違反した働き方を強要されるケースが見受けられます。
派遣社員としての権利を守るために、派遣法の確認をしておきましょう。
派遣社員の面接は禁止
労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。
(労働者派遣法第26条)
派遣法では派遣社員の事前面接は禁止されています。
派遣社員の雇用主は派遣会社です。
このため派遣社員の面接をできるのは、派遣会社だけです。
派遣先企業は、面接や履歴書を確認したり、年齢や性別で派遣社員を選ぶと違法になります。
しかし、派遣社員が職場の雰囲気や業務内容を確認すための権利として『顔合わせ』があります。
この派遣社員の権利である『顔合わせ』を面接であると誤った認識をもった企業が少なくありません。
顔合わせの場において、下記のような質問には答える必要はありません。
☑学歴
☑年齢
☑独身・既婚
☑子供の有無
☑出産予定
☑家族の職業
☑適正テストの実施など
あくまでも、『顔合わせ』は派遣社員の権利です。派遣先企業が顔合わせを強要することはできないので、不要であれば断ることも可能です。
ただし、スキル不足や希望出勤日の不一致の場合、派遣先企業にも受け入れを断る権利がありますので、顔合わせの際にスキルのアピールはしておきましょう。
キャリア支援を受ける権利
2015年に派遣法は改正され、派遣社員に対する『キャリア形成支援制度』が追加されました。
派遣会社は派遣社員に対して、計画的に教育訓練を受ける機会を設けることが義務付けられました。
☑すべての派遣社員が対象
☑無償・有給で実施する
☑派遣社員のキャリアアップにつながる
☑雇用する際に実施する教育訓練が含まれている
☑長期的なキャリア形成が計れる内容
つまり、派遣会社からのキャリアアップに関する教育訓練は参加費は無料であり、給与が発生することになります。
中には、教育訓練はするが、給与の支払いを行わない派遣会社もあります。
そのような場合は、しっかり給与の請求をしましょう。
契約外の仕事はする必要はない
派遣社員は、派遣先から就業明示書で示された業務以外の仕事を命じられた場合、これに応じる必要はありません。
派遣先は、就業明示書で示された内容以外の業務を依頼することはできません。
ただし、契約の業務内容に付随する業務の場合、全体の労働時間の10%であれば、派遣先は業務を指示することができるとされているので、引き受けるべきです。
しかしながら、派遣社員の就業明示内容を理解していない派遣先社員や、コンプライアンス意識の低い人から、契約外の指示をされることが多々あります。
派遣先企業の掃除当番や、お茶出し当番等は断っても問題ないことが多いでしょう。
契約外作業は給料に考慮さていませんので、派遣会社を通してお断りするほうがいいでしょう。
それでも、業務を指示される場合は賃上げを条件にしましょう。